医療は、健康でない状態を健康にすることである。
国語辞典にも、「医術によって治療すること」とあり、
治療は「手当てなどをして病気・怪我を治すこと」とある。
しかし、出産のときにお世話になる産科も医療の範疇に入る。
出産は、病気でも怪我でもない。
昔はどこの家庭も自宅出産だったと聞くし、現代でも自宅で産む人もいる。
「整形」も医療ではあるのだが、出産と同じようにすぐ納得できはしない。
いたって健康な皮膚にメスを入れ、ある程度の危険を冒して顔や体の形を変える。
「整形」はエステや化粧と比べられることも多く、
内科や外科と同じ医療だと認めるのは感情の面からなかなか難しいものがある。
さて、「整形」の正しい呼び名として現在何と呼ぶのが適切なのか。
医師が「○○科」として看板を掲げられる専門科名を標榜科といい、医療法で定められている。
大学の学科のように自由に決められないため、突然聞いたこともない科の病院が現れることはない。
しかし、看板に掲げていない科の治療も行うことができる。
医師免許を持っていれば、耳鼻科と名乗っていても眼科や皮膚科の治療ができるというわけである。
そして、医師であればどの科名も名乗ることができるので複数の科名を掲げている医院もある。
しかしそこにいる医師はその科を専門的に学んだとは限らないのである。
では、標榜科の意味は何なのか。
広告や看板に記載することのできる科、つまり広告規制のために存在するのである。
広告規制については後に詳しく論じる。
我々が普段「整形」と気軽に呼んでいるものは、以前は再建外科とともに形成外科の一部であったが、
現在は美容外科という名で独立している。再建外科とは、事故などの痕を治すことである。