急に「整形」という言葉を頻繁に聞くようになり、「ブームだ」と言われ、戸惑った。
「整形」が流行る日が来るとは夢にも思わなかった。
ブームはいつも、はじめは「どうしてこんなものが…」と思わせるものだ。
ルーズソックスは1997年ごろにブームとなった。
と同時に女子高生そのものが注目の的になった。
「どうしてこんなたるんだ靴下が流行るのか」と疑問を持っても、だんだんルーズソックスを履くクラスメイトが増えて行く。
その面々は必ずと言っていいほど、クラスの中でも流行に敏感でかわいい人たちだ。
おかしな形の靴下がつまらない制服におしゃれ感を加えているように思えてくる。
そして、ルーズソックスを履いていることがステータスになってくる。
もっと状況が進むと、今度は履いていない人の方が目立ち、変わり者扱いされてしまう。
そしてあれから6年も経ったのにまだ廃れていない。
「整形ブーム」は、本当に起きているのだろうか。
ルーズソックスの例に合わせて考えるなら、まず憧れの対象である人たちから始まるという、
みんながまねしたくなるようなきっかけが少ない。
芸能人が「整形」をスキャンダルとして隠す限り、我々一般人にとっても「整形」することはステータスにはならない。
「整形ブーム」は起きていない。ただ、「整形」に目が向けられ、メディアで頻繁に触れるようになり
、他人事であれば気軽に話題にできるようになった。「整形」を肯定的に扱うテレビ番組を楽しんで見ている人も、
自分や身近な人が手術するとなると話は別なのだ。話題になることと受け入れられることは違う。
「整形」が本当にブームになる日が来ることは難しい。もしその日が来るとしても、相当な時間がかかるであろう。
そして、そのときようやく今回の「整形ブーム」が本当のブームにつながる一歩になるだろう。