ドラマ『できちゃった結婚』に見る現代の結婚

ついにフジテレビ月9枠のドラマでできちゃった結婚が大々的に取り上げられた。このドラマが描く結婚と実際の現代の結婚はどのようなものなのか。

1 ドラマ『できちゃった結婚』(2001年7月〜9月)

平尾隆乃介(29) CM制作会社勤務 お調子者でいい加減 仕事だけは熱心
小谷チヨ(20)  テパート勤務 頑固で意地っ張り 根は純情
〔小谷一徹(60) チヨの父親 元警察署長 照れ屋で心配性のため尾行を繰り返す〕
→ はずみで子どもができてしまった。 最初は夫婦になることや親になることに自覚がなかったが 一徹の反対(=愛情)や仕事との両立などの問題を乗り越えながら成長していく。

川口英太郎(33) 司法試験に落ちつづけ浪人生活を送っている
小谷亜紀(29)  チヨの姉 フリーライター 気が強い
〔小松原修造(33) チヨの通う産婦人科の先生 ポジティブ〕
→ 8年間別れたり戻ったりを繰り返しながらだらだらとつきあってきた。 子どもができ結婚するキッカケができたチヨたちをうらやましく思う。 ライバル出現により司法試験や結婚という将来について動き出す。

新庄巧(22)   隆乃介の職場の後輩 純情な九州男児。
有森みさと(20) チヨの親友 自分の魅力に自信があり積極的。
→ チヨたちのすれ違いを見てタイミングの大切さを知る。 結婚するのは今しかないと思い、妊娠する。

2 できちゃった結婚に対する意識の変化

若者のあいだでは恥ずかしいことという意識はどんどん薄くなり、社会的にも認められつつあるようだ。その要因として芸能人の結婚は大きい。中でも影響の大きかったのは1997年の安室奈美恵、2000年の木村拓哉の結婚である。人気絶頂時の“できちゃった結婚”が決してイメージダウンにならないことも証明した。できちゃった結婚というと昔は「仕方なく」というイメージが強かったが今では結婚のキッカケのひとつとして定着しつつある。 一方、親世代との価値観のギャップはまだまだ大きい。今20代である世代が4、50代になったときにはできちゃった結婚により寛容な社会になっているだろう。

3 結婚のメリットがない!

晩婚化が進んでいる。同棲であれば家族や親戚を巻き込むこともないし、苗字が変わって不自由することもない。「こどもはまだ?」「仕事はいつまで続けるの?」といったおせっかいな質問をされることもない。結婚のデメリットにかえてでも必要なメリットがない限り、結婚するには至らない。 結婚するかどうかは、届け出るかどうかの違いである。最大のメリットは、摘出子差別を受けないことだといえる。 ヨーロッパでは結婚していないカップルも結婚している場合とほぼ同様の利益(遺産、税など)を被ることができるようになった国もある。結婚せずに子どもを産んでも差別されることはない。 それに対して日本ではそのような法律がなく、こどもを産むのなら結婚した方が何かとスムーズであるし経済的にも良い。 つまり、こどもができるというキッカケがないと『どうしても結婚しなければ!』という切羽詰った状況にはなかなかならず、デメリットばかりが目立ち、晩婚化は進む一方である。できちゃった結婚は、晩婚化に歯止めをかける唯一の方法となりうるのだ。

4 これから

この先、ヨーロッパと同じように日本も法制度が整えば、結婚というスタイルにこだわらない社会ができるかもしれない。そうなると同性婚や夫婦別姓などの問題も解消される。敢えてシングルマザーになる女性も多くなるだろう。親戚づきあい、結納・仲人といった結婚に関する伝統など、の若い世代が鬱陶しく思うものがどんどんなくなっていくだろう。その一方で、簡単に離婚できてしまうというマイナス面も予測される。それはこどもにとっても深刻な問題である。  できちゃった結婚の背景には、『結婚』そのものを考えさせられる問題が潜んでいる。

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