映画「誰も知らない」 |
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あらすじ + 感想 |
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話題のカンヌ最優秀男優賞受賞作品でございます。 やっぱ、レンタル解禁は待てません、 今見たいものは今見ないと。てことで、友人Yと映画館へ〜。 なんと兵庫県内ではハーバーランドにあるプロメナ神戸(元オーガスタ)にある映画館、 この一館だけでしか上映してないのよ、 信じられない。配給会社が弱いのね。 ハーバーにはモザイクんとこにも映画館があってそっちは有名だし人もいっぱい並んでいるけど、 こっちは存在自体がマイナーで、やってる映画もビミョーにマイナーで、 普段はひとりで映画を見れることもあるらしいよ。 でも今回はなにせ県内唯一&日曜&話題作ってことで混むと予測して朝イチの回(10:00〜)に行く。 ま、混んでなかったけどね。そこそこ人いたけど。ていうか狭い映画館…さすがのマイナーさ。 にしてもなんか、中年夫婦やら老夫婦が多いな〜、 やっぱこういう受賞作品はおさえておこうという長年の映画鑑賞のポリシー? なんか館内の平均年齢が高い〜。 さて上映開始。 柳楽くんと年上っぽい女の子が大きなスーツケースを持って電車に乗っているシーンから始まる。 これは、ほんとは終盤のシーンです。 この女の子だれ?このスーツケースなに?電車乗ってどこいくの?…ということでストーリーが始まります。 引っ越してきた親子、けい子(YOU)と明(柳楽)、、引越しの荷物の中には意味ありげなスーツケースがふたつ。 その中に入ってたのは、明の弟・茂と妹・ゆき。あとから、こっそり京子も電車でこの街に来る。 他人には存在を知られてはいけないこどもたち。 近所のひとには、こどもは明だけということになっている。 …ていうか、事前情報があったから、明以外のこどもには戸籍がなく学校に通ってないっていうこと知ってたけど、 作中ではそういう説明的なことは一切なし…明も宿題みたいのやってるから学校行くかと思いつつ結局行ってないし。 明にも戸籍なかったのかな〜…なんか、他の兄弟の存在隠してたのも 「たくさんこどもがいるって知られたら部屋借りにくいから」みたいなことになっているし。 ていうか明は存在は知られているのに学校行ってなくて、それこそどうなの?怪しまれるのでは? さてさて、兄弟たち。父親はバラバラ。 長男 明…いわずと知れた柳楽くん。12歳。買い物と料理係。 長女 京子…髪が長くて目が細い子だった。洗濯係。 次男 茂…なんだか笑いを誘う存在でした。顔が濃いめ。お調子者キャラ? 次女 ゆき…かわいかった〜!!でも父親が…(笑) とにかくせつなすぎのストーリー。 YOU演じる母親は、こどもほったらかしてヒドイ母親〜っていうんなら怒りを向けるだけで済むんだけども、 家でこどもと一緒にいるときはとてもかわいがっている様子がよく伝わってきて、だけど自分の恋に走ってしまう、 まだ大人になりきれてないっていう感じで…つまり完全に悪者というわけではないってとこがせつないのよ!! というわけで、お金おいて家に帰ってこなくなるYOUママ。 んがしかし、予想以上に長い間帰ってこないんで、お金足りなくなって、 明は母親の元恋人とかのとこを頼りにお金をもらいにいくんだけど、 最初に訪ねたのは、人相の悪いタクシー運転手んとこ。 …って、キムキム兄やんじゃないですか!!カッ、カンヌ作品に出てたんすか!! しかもYOUの元カレ役って想像しただけで笑えるんですが。 回想シーン作って欲しかった〜、映画が台無しだけど〜。 にしても、 キム「ゆきちゃん、元気か?」 明「うん」 キム「おれに似てるか?」 明「うん(笑)」 …2回目の「うん」は素で笑ってますよね?柳楽くん!! キムキムのあとには、パチンコ店員のとこへ。この人は明の父親らしい(Yいわく)。 キリリとした濃い目が似ていてこちらは親子でもおかしくない感じ。 5000円くれたしぃ〜、安い!!! しばらくして帰ってきたYOUママ。 しっかし、反省ゼロ。 明と2人で話したときには「ママね〜、好きな人がいるの〜」 「また?!」 んですぐにまたどっか行く母。見送りに行く明とミスドに寄り道。 「お母さんは勝手すぎるよ」 ついに怒り爆発の明、しっかしマイペースYOUママは、 「お母さんが幸せになっちゃいけないのぉ〜?!」 えぇ〜、もう何言ってもムダっすね〜 明「いつになったら学校行けるの」 母「え〜、いいじゃん学校なんか行かなくたって〜、学校行ってなくても偉くなった人いっぱいいるよ」 明「だれ?」 母「え〜わかんないけど〜」 (かなりの間) 母「あ、いた、田中角栄」 え、マジですか?行ってたでしょ、いくらなんでも小学校は。。 母「あっ、アントニオ猪木」 明「え〜(笑)」 これはカメラ長回しして撮ったアドリブだそうです。 明の怒りもさらっと流しちゃうYOUママってば…。 本格的に母親が帰ってこなくなってからは、 明がいろんなこと背負って弟と妹に気ィ遣いまくりでまたせつないんですよ。 いろいろあったけど、私がいちばん「あきらぁ〜!!」と思ったのは、 コンビニのおねえさんに名前を代筆してもらって作ったニセモノのお年玉袋に、 もうカツカツの生活費から捻出したお金を入れて 「お母さんにお年玉もらってきたよ」と言って弟妹たちに渡すとこ。 ああ〜!も〜!しかも、やっぱ年齢的に明と近い京子は、 これがウソだってわかってしまったけどダマされたふりしたまま 「(生活費に)使いなよ」って言って明に渡すんすよ。 もうもう。 でもやっぱいろいろ大きいものを背負いすぎた明は、途中で悪い友達とつるむようになって、 明たちの家は溜まり場みたいになってしまうんだけど、 結局はやつらも中学生になってしまってもう明とは遊ばなくなってしまう、、、 んでやつらともう一度遊びたい明は「新しいゲーム買ったから家来なよ」って言うんだけどもう来てくれなくて。 そして生活費はどんどんヤバくなり、電気止められーの、ガス止められーの、 水止められーの、、、公園の水道で洗濯して鉄棒に干したり。 あと、いじめられっこ女子高生サキも居場所が無くてこの兄弟たちとつるむようになる。 生活費困りまくって家賃すら払えなくなってきたとき、 サキちゃんはオヤジと一緒にカラオケに言ってお金もらって明に渡すけど、それを受け取らずに走り去る明。 どんなに困ってても悪いことには手を出さないようにするとこがまた …ていうかこれは嫉妬だったのかしら? 一応、この女子高生に恋心ありっていう設定だったのかな〜。。。 とりあえず、純粋な明の目にはとても不潔な行動に見えたのでしょう。 もー何もかもイヤになり、弟妹たちに八つ当たりしまくって、 少年野球に飛び入り参加してストレス発散する明。明はずっと野球がしたかったのです。 公園で拾ったボールで投げたりキャッチしたりの練習していたし、 拾った棒をバットにして振ってたし、ラジオで野球中継聞いてたし。 ご機嫌で帰宅した明が目にしたのは、末っ子のゆきの、いすから落ちて気絶している姿。 ゆきのために薬局へ走る明。 悪い友達に強要されても絶対にしなかった万引きを、とうとうしてしまうんですよ、ここで。 冷えピタとか盗んできて一応応急処置のようなことはしたけれど、 翌朝、ゆきは冷たくなってしまっていて…触ってみて絶望する明。 援助交際の一件以来会ってなかったサキちゃんちまで行って、 「やっぱりあのお金ちょうだい」と言う明…もう背に腹は変えられないのよ。 ゆきを引越しのときと同じトランクに詰めるけど入らなくて「ちゃんと背のびてたんだね…」 サキちゃんと一緒に明はゆきを羽田に埋めに行く。 ってとこで最初のシーンとつながるわけです。 そしてまた、母の帰らない生活。 いつものとおりコンビニのお兄さんに廃棄分のおにぎりを横流ししてもらい、 なんとか生きる3人プラスサキちゃん。 …というストーリーでした。はい。 主題歌がまたせつなくってねー。上映前から館内に流れてたから見る前からせつない気分になったよ。歌ってるのはコンビニのお姉さん役で出てた人らしいです。 あのお姉さん、なにか目指しているものがあるらしくて、 お年玉袋を書いてあげるシーンでなにか資格の本見たいなの読んでたのよね。 ほんでしばらくしたらコンビニにいなくなってて、 代わりに入った若い男の子がオニギリ横流し。 夢叶えてどっかいったってことかな〜、それとも時間が流れていることの象徴? あと、明がサキちゃんを初めて見かけたとき、サキちゃんが川に捨ててたものは一体なんだったのか? ああそうそう、サキちゃんね、女子高生だと思ってたけどあとで調べたら柳楽君より年下なのですね。 だからこの役は女子中学生だったのかな〜…??? さて、、、この映画のポイントは「カンヌ受賞」もさることながら、「現実にあった事件がモチーフ」ってことです。 映画のポスターに刻まれたコピーは「生きているのは大人だけですか」 これが監督の、現実にあった事件に対して、最近の世の中に対して、提示したかったことなのだろうなぁと。 良いコピーだ。映画を見ているあいだずっと頭にあった。 YOUママの「ママが幸せになっちゃいけないの?」なんてもう、ほんとにまさに 「生きてるのはオマエだけじゃねーんだよっ」てことよね、でも完全に憎めないんだな、この母親を。 それはYOUのキャラによるところが大きいと思う。 京子はいろんなことわかってるのに、お母さんのことをずっと恨まずに、 明がお母さんの服を売ろうとしたときも反対して。 はぁ。 実は最近ハマっているマンガがあって、それも母親がこどもを置いていってしまう話で、 なんかいろいろリンクする〜… ヒドイ母親でも、小さいこどもは母親を頼るしかなくて、だからこそ母親が向き合わないといけない、 みたいなことが描かれてて。うんうん。 でも、現実に起こった事件をモチーフって言われてもどこの事件だったかわからんよね、 こども絡みの事件が多すぎて。 なんてこった。 親もしっかりしないといけないんだろうけど、もっと育てやすい制度ができるといいねぇ〜、、 あと、カンヌをもらっちゃった柳楽くんの演技ですが、私はよくわかりませんでした、うまいかどうかってのは。 それよりも、この映画全体がものすごく淡々と、静かに、自然に作られていて、 その中に柳楽くんも明として当たり前のように溶け込んでいて、 その違和感のなさを演技力と言うならもう最高のレベルだと思うけど、 でもやっぱ監督とかの技量によるところも大きいだろうし、 これから賞をとったプレッシャーに潰されずに良い役者になってほしいなぁと思います、ほんと。 以上、感想でした!! |
2004/09/05 |